信越病院改革プラン
平成21年3月31日、信越病院改革プランを作成したのでここに公表する。
公立病院改革プランについて
総務省は、公立病院を設置している地方公共団体において「公立病院改革ガイドライン」を踏まえ、平成20年度以内に「公立病院改革プラン」を策定し病院事業経営の改革に総合的に取り組むことを要請した。
公立病院改革の必要性
以上のことから、ここに信越病院改革プランを作成し、①経営の効率化、②現状にあった再編・ネットワーク化の検討、③経営形態の見直しに関する検討を、長野県保健医療計画を踏まえ策定するものとする。
【信越病院改革プラン 全文】 PDFファイル
(総務省のHPにリンクしています)
信越病院の果たすべき役割
信越病院の課題
(1) 医師・看護師不足
信越病院改革プランの基本方針
信越病院は、国の医療制度改革や少子高齢化に伴う医療環境・医療ニーズの変化等医療を取り巻く環境が大きく変化する中、これまで町民の健康維持・増進を図るため、地域に必要な医療の確保に努めている。しかしながら、近年の全国的な医師不足同様に、信越病院においても常勤医師不足が深刻化しており、地域に必要な医療の提供が困難な状態となっており、町民の理解と協力を求めている。こうした中地方公共団体の財政の健全化に関する法律において、病院事業を含む地方公営企業について一層の健全経営がもとめられるとともに、病院事業については、平成19年12月に総務省より提示された「公立病院改革ガイドライン」において、地域において必要な医療体制の確保を図る観点に立ち、その改革を推進するよう要請されたところである。
このような状況において、信越病院が今後、将来にわたって地域医療の安定確保を図るため、医師確保や経営形態の見直し、更に効率的な病院経営を推進するための経営改善策を図りながら、さらに県保健医療計画や保健・医療・福祉に関する計画との整合性を保ちながら「信越病院改革プラン」を策定するものである。
プラン策定に当たっては、経営効率化、再編・ネットワーク化及び経営形態の見直しの視点から検討を行い策定し、病院運営協議会において諮問を行い(現在諮問中)平成21年3月、議会の全員協議会において説明を行った。プランの具体的な内容及び目標数値については次に掲載してあるが、経営戦略委員会の立ち上げによる収益増の検討。業務委託の見直し等による取り組みを実施し、療養病床(医療療養病床25床、介護療養病床25床)の平成22年度介護老人保健施設へ転換し、一般病床を56床とすることを検討。
(2) 信越病院改革プランの基本方針
信越病院は、全国的な自治体病院が抱える問題同様に医師不足による診療体制の縮小や診療報酬改定などにより経営環境及び医療提供体制は厳しい状況にある。
改革プランでは、信越病院がこのような状況においても、今後とも引き続き地域医療を安定的かつ継続的に提供することを基本に取り組むこととした。
公立病院改革プランは、平成21年度から平成25年度までの期間を対象としたものである。このうち、「経営効率化」に係る部分については3年程度、「再編・ネットワーク化」及び「経営形態の見直し」に係る実施計画に係る部分については5年程度の期間を対象としている。
なお、「再編・ネットワーク化」及び「経営形態の見直し」について、平成20年度中に具体的実施計画を確定することが困難な場合には、平成20年度においては当面の検討・協議に係るスケジュール等を掲げるにとどめ、後日改革プランの改定により実施計画を追加し、おおむね平成25年度までの間での実施を目指すことも妨げないものとしているところであるが、現段階での再編ネットワーク化及び経営形態の見直しについては行なわないこととした。
信越病院の取り組み
(2) 経営状況
信越病院は、医師不足・診療報酬改定等の影響もあり、平成18年度経常収支比率が94.4%平成19年度では経常収支比率が96.1%となっており、また医業収支比率については、平成18・19年度それぞれ83.1%・86.2%となっている。職員給与費比率についても、全国平均を上回っている状況にあり、公立病院経営の課題が明確に出ている。病床利用率については、平成18・19年度それぞれ81.6%・87.1%となっているが、一般病床のみではそれぞれ65.7%・75.9%で県・国ともに目標とする数値に近い形になっているものの、少ない医師でかなりの業務をこなしている状況にある。
(3)一般会計負担の考え方
信越病院が地域医療の確保という役割を果たすべき一般会計等が負担すべき経費の範囲については次(4)のとおりである。
一般会計負担金の繰出し基準については、地域医療確保のため信越病院が果たすべき役割及び医療の提供体制(診療科目、病床数等)並びに病院の提供する医療等のうち一般会計等において費用負担が行われるべきものの範囲についての考え方及び一般会計等負担金の算定基準(繰出基準)について今後も国の基準に基づく繰出しを受ける。
なお、国の基準以外の繰出しについては、繰出しが必要とされる項目の事情を判断し、一般会計の財政状況を勘案しながら協議していくものである。
(4)一般会計負担金(基準内)の算定基準
○ 病院の建設改良に要する経費
経営に伴う収入をもって充てることができないと認められる経費で建設改良費の1/2、企業債元利償還金の2/3 が基準(平成15 年度以降の新規事業に対しては、企業債元利償還金の1/2 が基準)
○ リハビリテーション医療に要する経費
経営による収入をもって充てることができないと認められる経費の不足額
○ 救急医療の確保に要する経費
救急病院における医師等の待機及び空床の確保の経費のうち、その収入をもって充てることができないと認められる経費の不足額
○ 保健衛生行政事務に要する経費
集団検診、医療相談等に要する経費のうち、その収入をもって充てることができないと認められる経費の不足額
○ 医師及び看護師等の研究研修に要する経費
研究研修に要する経費の1/2
○ 高度医療に要する経費
麻酔科医師人件費、医療装置賃借料及び減価償却費等
○ 病院事業会計に係る共済追加費用負担に要する経費
長期給付等に関する施行法(昭和37年第153号)施行日の職員数に比して著しく増加している共済追加費用の負担額。特別交付税措置相当額。
○ 地方公営企業職員にかかる基礎年金拠出金にかかる公的負担に要する経費
前々年度の経常収支不足額を限度とする基礎年金拠出金の公的負担額。特別交付税措置相当額。
○ 地方公営企業職員に係る児童手当に要する経費(0歳以上3歳未満の児童)
0歳以上3歳未満の児童を対象とする給付に要する額(児童手当法附則第6条に規程する特別給付を除く)の3/10。特別交付税措置相当額。
○ 不採算地区病院の運営に要する費用
特別交付税相当額
○ へき地医療の確保に要する費用
特別交付税相当額
○ 一般会計負担金(基準外)算定基準
繰り出しが必要とされる項目の事情を判断し、一般会計の財政状況を勘案しながら協議していく。
経営効率化に係る目標値等
経営改革プランの経営の効率化に伴う目標数値等として下記のとおり設定した。
・平成23年度に経常収支の黒字化を図る。
・平成21年度に受付業務を民間委託する。
・平成21年度に給食業務の民間委託を検討する。
・平成22年度に亜急性期病床を4床開設することを検討する。
・職員給与費対医業収益比率を平成23年度までに70%未満に圧縮する。
(給与比率 21年度71.6% 22年度72.8% 23年度69.8%)
・医療法の配置基準に基づく医師・看護師等の適正な配置を行うとともに、非常勤職員の確保などで人件費の抑制に努める。
・医師・看護師等の確保は、地域医療の確保はもとより病院事業の経営においても大きな影響を及ぼすことから最大限の努力を行う。
・後発薬品の利用率向上を検討する。
・入院基本料10:1を維持し平均在院日数21日以内を目指しつつ病床利用率を79.1%まで高める。(病床利用率 21年度77.1% 22年度79.1% 23年度79.1%)
・類似病院と比較し、低い入院・外来単価を見直し収益の確保を図る。
・入院単価 21年度26,000円 22年度26,500円 23年度26,500円)
・外来単価 21年度5,900円 22年度6,000円 23年度6,100円)
・不採算業務の洗い出しを行い、民間委託等を行う。(検査業務の一部、居宅支援業務)
・人間ドック事業を強化する。(21年度500人 22年度640人 23年度800人)
・特定健診事業を強化する。(21年度800人 22年度1,300人 23年度1,800人)
・協会健保生活習慣病予防健診を実施する。(21年度100人 22年度150人 23年度200人)
・病院だより、病院出前講座等による広報活動を積極的に実施する。
信越病院改革プラン実施状況の点検・評価及び公表
(1) 改革プラン実施状況の点検・評価及び公表
今回、改革プランに盛り込んだ経営指標については、信越病院にてその進捗状況等を確認していく必要がある。
(2) 積極的な情報開示
前項の点検・評価・公表に際し、立地条件や病床規模が類似した他の自治体病院や地域の民間病院等における状況等を併せて明らかにするなど、町立病院の現状について住民が理解・評価しやすいよう、積極的な情報開示に努めるものとする。
また、前項の有識者等による委員会等の審議状況などについてもホームページ等に積極的に公開するなど、住民の関心をできる限り高める工夫を凝らし、情報開示に努めるものとする。